911から2年目のNY


911から2年目のNY

先日、久しぶりにNYを訪問した。911事件から2年、先日は大停電騒ぎもあったが、再び電気を得た街には多くの人が行き交い、賑わいをみせている。休日のセントラルパークは日光浴をする人が集まり、のどかな風景が広がる。

セントラルパークで日光浴を楽しむ人々 タイムズスクエア周辺の賑わい


911事件の現場である「グランド・ゼロ」は、現在は大きな窪地となっていて、再建計画は固まってはいないが、現場の復興に向けての動きがは各方面でみられる。NYは景気の面ではまだ陰りがあると伝えらているが、911事件の影響も街中から次第に少なくなっているように感じられた。

廃鋼材でつくられた十字架 所々に星条旗が掲げられている

筆者撮影 2003年9月

周りには、現場の変遷や911事件の様子、犠牲者名を伝えるパネルが展示されている。 広い窪地はさながら工事現場の様


昨年の911事件一周年の際には、大掛かりな追悼式典が催され、その様子はその後のイラク攻撃の序章としての様相を伺わせるものであった。今年の追悼式典は、9月11日を大統領令で「愛国の日」に指定する等の新しい動きがあるものの、去年ほどは大掛かりな催しにはならないという。事件が風化してきているためであろうか、いや、ただ式典の背後にある別の目的(昨年はイラク)が、去年ほどは見出せないということも大きのだろう。

911事件は、世界の安全保障のあり方を大きく変えた。米国はこの事を最大限に利用してきたかの様にも見える。しかし、フセイン政権が崩壊し、開戦の根拠とされた大量破壊兵器疑惑そのものが虚構であったことが報じられる中、ブッシュ米大統領、ブレア英首相の支持率は低下の一途だ。この二人は、虚構の上に真が成り立たないことを、身をもって知ることになるのではないだろうか。
このような状況下でまだ両名が、虚構と戦の正当性を主張するのであれば、このことは賢明な政治家の誠から出てきたものではなく、背後に両名を操る何かがあることを強く感じずにはいられない。

全く余談ではあるが、今回の訪米中に先日の大停電の発端となったというオハイオ州にある発電所をみる機会があった。外から見ても、かなり老朽化が進んでいると見える、古びた火力発電所である。世界の超大国を自認する国の内部は、実はかなり脆いのだなと思った次第である。

エリー湖畔に立つ古びた火力発電所。
先日の大停電の発端となったといわれる。


911事件後に撒かれた火種は、まだ世界のあちこちで燻りつづけている。火種に不用意に風を送ると大きくなるが、間違っても火種に油を注いではならない。この先一年がより平和な世の中になることを期待しつつ。

ayumi(感想等はこちらへ) 2003.09.11






Date:  2003/9/11
Section: 海外羅針盤
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